介護従事者の処遇改善が主眼/次期改定の審議報告たたき台  PDF

介護従事者の処遇改善が主眼/次期改定の審議報告たたき台

 厚生労働省は12月3日、社会保障審議会・介護給付費分科会に審議報告のたたき台を提出した。次期介護報酬改定は介護従事者の処遇改善に主眼を置き、「介護福祉士の有資格者割合」の評価や、地域ごとの人件費を踏まえた見直しを行う方針を盛り込んだ。分科会は次回、報告案を再度検討する予定だ。

 たたき台では、介護報酬3.0%引き上げは介護従事者対策が目的としながらも、「引き上げで賃金が一律に引き上がるものではない」と指摘。処遇改善に当たっては、介護報酬上の対応に加え、介護従事者の処遇情報の公表など総合的対策を講じる方針を示した。

 人件費の地域差への対応としては、地域ごとの人件費を踏まえた地域区分の見直しを行う。「介護従事者の専門性への評価や定着促進」に向けた方策は、訪問系・通所系・施設系のサービス群ごとに提示。全サービス群で、介護福祉士の有資格者割合の評価を行うほか、施設系・通所系サービスでは一定の勤続年数者の割合の評価を導入する。さらに、施設系では、常勤職員が一定割合雇用されている事業所に対して評価する。

 個別サービスの業務負担への対応としては、介護老人保健施設の夜勤体制やサービス提供責任者の業務負担、認知症対応への評価を行うとした。

 委員からは「勤続年数が必ずしも専門性や質の評価に結び付かない」との指摘があったが、厚労省は現時点で介護の質評価の客観的な指標がないと説明。たたき台では、勤続年数や常勤職員の評価は「質評価の指標ができるまでの暫定的措置」と明記した。

 介護療養型老人保健施設については、療養病床からの転換が円滑に進むよう適正な評価を行う。具体的には、療養型老健に重度者が入所している実態を踏まえ、医薬品・医療材料費や医師によるサービス提供の評価を手厚くする。また、医療機関と家庭から入所した人の割合の差に関する施設要件について、周辺医療機関の有無などに応じた特例措置を設ける。

 短期入所療養介護については、有床診療所の活用を促す観点から、診療報酬で「診療所後期高齢者医療管理料」を算定する一般病床などの算定を可能とする。厚労省の鈴木康裕老人保健課長は「『診療所後期高齢者医療管理料』は面積要件や人員配置基準が療養病床とほぼ同じ」と説明し、2011年度末の介護療養病床廃止後の受け皿になるとした。

 通所リハビリテーションは、医療保険との整合性を図るため、短時間・個別のリハビリについての評価を行う。早期かつ集中的なリハビリを充実する観点から、短期集中リハビリ実施加算を評価。また、1カ月当たりの平均利用延べ人数が900人を超えた場合に適用する「大規模減算」は、規模拡大による効率化の努力を損なわないよう見直す。

 このほか、認知症の確定診断の促進に向けて、認知症の疑いのある入所者を老健が認知症疾患医療センターなどに紹介した場合に評価することなどを盛り込んだ。(12/4MEDIFAXより)

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