介護報酬改定、人材不足の解消軸に/宮島老健局長、2200億円削減に危機感

介護報酬改定、人材不足の解消軸に
/宮島老健局長、2200億円削減に危機感

 厚生労働省老健局の宮島俊彦局長は7月25日、就任後初めて専門紙各社との会見に応じ「入院医療を福祉や在宅に移行するという流れに沿って施策を展開していく。医療と介護サービスの連携を進め、地域包括ケア体制の整備を重点的にやっていきたい」と抱負を語った。2009年の介護報酬改定に当たっては「人材不足が解消されるような方法を考えなければならない」と指摘。報酬は引き上げが望ましいとしながらも「2200億円削減の枠にはめられると、介護報酬の財源確保は厳しくなる」と述べ、マイナスシーリングに対し危機感を示した。

 介護保険の給付と負担割合の見直しについて「公費と保険料が半々という形はしばらくは動かないだろう」との見通しを示した。増大する介護給付費対策については「自己負担を増やすのは現実的でない。公費負担を増やすには消費税の引き上げなどが自然だが、今の段階でそういう雰囲気でもない」と述べ、財源確保の難しさをにじませた。財務省が5月に軽度要介護者の給付削減に関する試算を出したことに対しては「軽度者を対象外にしたところで重度者が増えるだけ。政策の方向性としては違う」と話した。

 政府がまとめた「5つの安心プラン」の実現に当たっては、第4期介護保険事業計画(09年度−11年度) が核となるとした上で「医療費適正化計画で在院日数短縮が進む中、医療からの受け皿整備を進める必要がある。療養病床再編と地域包括ケア体制づくりに取り組まなければならない」との見方を示した。24日に初会合を開いた「安心と希望の介護ビジョン」については「介護人材確保などは喫緊の課題。介護報酬改定や予算に反映することも考え、11月頃には結論を出したい」と話した。

 08年度から始まった介護給付適正化事業に関しては「主要適正化5事業は一定の効果を上げている」と評価した。給付費全体の適正化を進めるために(1)介護予防事業の推進、(2)認知症の早期診断・治療−を強化すべきとした。(7/28MEDIFAXより)

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