介護報酬の単位一律下げか、単価下げか/地域区分見直しで厚労省  PDF

介護報酬の単位一律下げか、単価下げか/地域区分見直しで厚労省

 厚生労働省は、2012年度の介護報酬改定に併せて行う地域区分の見直しで、給与水準が高い都市部などの上乗せ分の財源を捻出するための選択肢を▽1単位10円の単価を引き下げる▽1単位10円のまま各サービスの基本報酬の単位を全体的に引き下げる─の2つに絞って検討を開始した。改定率とは切り離し、財政中立の考え方に沿って、9月30日に公表する介護事業経営実態調査(介護実調)の結果などを踏まえて検討する。

●給与水準考慮した格差是正措置
 地域区分の見直しは、恒久的な介護人材不足に悩む都市部の給与水準に介護報酬を近づけるための格差是正措置。介護報酬の水準を全体的に引き下げて捻出できる分を地域の給与水準に合わせて再配分する手法は、上乗せ割合が0%の「その他」に該当する地域の事業所で、相対的に報酬減となることが懸念される。これに対し厚労省は、「その他」の地域にある事業所は数が最も多いため、引き下げ幅は低く抑えることができるとしている。

●134自治体が「上乗せあり」へ繰り上げも
 5区分から7区分へ見直すことで、地域区分が変更となる自治体もある。現在「その他」の地域区分で上乗せ0%の自治体のうち、上乗せ割合がある地域区分に134自治体が繰り上がる可能性がある。各自治体は現在、12年度から3年間の保険料を定める介護保険事業計画を策定中だが、上乗せ割合がどの程度になるかは保険料に大きく影響する。相対的に利用者負担も増えるため、地域住民への周知も必要になる。

 厚労省は今後、介護実調の結果を踏まえ、国家公務員給与の地域区分をそのまま当てはめることが適当かどうか検討し、併せて区分変更に伴う影響を抑えるための緩和措置についても必要性を検討する。

●サービスごとの人件費率も見直す可能性
 地域区分の上乗せ割合と同様に、地域ごとの介護報酬1単位単価の算出根拠となる人件費率も見直す可能性がある。現在は、介護報酬サービスの種類ごとに「70%」「55%」「45%」の3類型に分けて定めているが、厚労省は、地域区分の見直しに伴って人件費率の見直しの必要性も検討する方針だ。(9/30MEDIFAXより)

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