介護予防事業「聞いたことない」6割/厚労省研究班が意識調査  PDF

介護予防事業「聞いたことない」6割/厚労省研究班が意識調査

 「介護予防事業」という言葉を聞いたことがない人は、40−79歳の一般の人の約6割に上ることが3月30日、厚生労働省研究班が行った「介護予防事業に関する意識調査」で分かった。要支援・要介護状態になる可能性が高い「特定高齢者」に至っては7割が「聞いたことがない」と回答した。

 調査結果は同日に都内で開かれた「介護予防の普及・啓発を考える」シンポジウムで報告された。同研究班の山縣然太朗・山梨大大学院教授は「介護予防の取り組みは目に触れているものの、心に響いていない状況」と指摘。同研究班は介護予防事業のポイントや利点をまとめた資料「介護予防虎の巻」を作成し、介護予防事業の普及啓発を図る。

 調査は2009年1月30日−2月13日に40−79歳の500人を対象に行い、290.049件(回収率50%)の回答を得た。対象者のうち要介護認定を受けている人は5%程度。介護予防についての印象や、介護に対する不安などを聞いた。

 介護予防事業という言葉を「聞いたことがない」と回答した人は58.3%。73.4%が介護予防に対し「全体的に良い印象」としたが、55.9%が「楽しくなさそう」と答えた。

 一方、「特定高齢者」という言葉を「聞いたことがない」としたのは70.2%に上った。特定高齢者の印象については81.7%が「悪い印象」と回答。「内容が想像できない」としたのは69.4%で、名称や事業内容が普及していない実態が明らかとなった。特定高齢者を把握する「生活機能評価」についても、81.6%が「聞いたことがない」と回答した。

 「特定高齢者」を別の言葉で言い換えるとしたら何がいいかとの質問では、「はつらつシニア」(18.2%)が最も多く、「優先介護予防高齢者」(17.2%)、「元気応援高齢者」(14.8%)、「健康づくり高齢者」(13.8%)などが続いた。

 自ら介護を受ける可能性について聞いたところ、「将来介護が必要となると思う」(42.4%)と「今は分からない」(46.1%)がほぼ二分した。また、80.3%が「介護が必要となることに不安がある」とし、理由では「家族に迷惑がかかる」が83.6%を占めた。

 心身の機能低下については「予防も改善もできる」「適切な方法であればある程度予防・改善できる」などを合わせて、89.8%が「予防可能」と答えた。(3/31MEDIFAXより)

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