人体「不思議」展 厚労省から見解引き出す  PDF

人体「不思議」展 厚労省から見解引き出す

府警は告発状を正式受理

 京都府警は2月1日、人体の不思議展実行委員会が死体解剖保存法に違反するとして、関理事長をはじめとする告発人12人が提出した告発状を受理した。昨年12月9日に告発した際、既に事前捜査は開始しているとして、告発状の写しだけを受け取っていたが、このほど正式に受理をした。これにより、府警は本格捜査に着手することになる。

 府警は12月9日の告発時に、告発人が告発の根拠とする死体解剖保存法違反の可能性について、所管する厚労省の見解が必要、としていた。それについて協会は、阿部知子衆議院議員事務所の仲介により、1月17日に厚労省担当課から見解を聞くことができた。

 まず、展示されているプラストミック標本については、最終的には個別判断とした上で「おそらく死体に該当する」と述べ、標本は死体であるとの認識を示した。

 死体解剖保存法について、同法第19条に医学の教育または研究目的以外で死体を保存する場合には、自治体の許可が必要になるとの規定があるにもかかわらず、今回同実行委員会はその届け出をしておらず、これは同法違反ではないかと聞いた。これに対しては、「現時点では直ちに問題があるとは言えない」と回答。根拠として、同法第19条は保存行為そのものの規定であり、展示行為はその範疇にないこと。また開催期間も一時期の間であり、長期に渡ってその場で保管をするものではないことをあげた。一方で、標本が特定の場所で基本的に保管されており、展示はあくまで、そこから貸し出されているということであれば、19条違反の可能性もあり得るとも述べた。このような事実が明らかになれば、解釈は変わりうるとの認識を示した。

 1日の告発状提出時、府警の担当者も厚労省の判断がはっきりせず判断が難しいと述べたが、京都地検へ移送し、検察の判断に委ねるとした。京都地検が同法第19条違反の犯罪と判断して起訴することになれば、最終的には裁判所の判断に委ねられることになる。

 1月23日に「京都展」は予定通り終了した。期間中に開催を中止させることはできなかったが、マスコミ各社が大きく報道したことで、同展の違法性の有無に焦点が当たり、世論に対する問題提起を行うことができた(2面)。今回の告発は、あくまで手続きの違法性を問うたもので、展示そのものの違法性については、告発人の一人である宗川吉汪(そうかわよしひろ)京都工芸繊維大学名誉教授が提訴した民事訴訟の中で訴えていくことになる。

 協会もこの問題について引き続き取り組み、2月20日には、「人体の不思議展」に反対する取り組みの中で浮かび上がってきた、人間の尊厳と医学・医療の倫理について考える講演会を開催する(4面)。是非ご参加いただきたい。

TBSの報道画面から
TBSの報道画面から

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