京都市当局に市民署名を提出  PDF

京都市当局に市民署名を提出

患者・家族 人生のビジョンを切り開いてくれた市リハセン附属病院をなくさないで

 協会が事務局を担う京都のリハビリを考える会は10月18日、京都市身体障害者リハビリテーションセンター(市リハセン)で、京都市当局に対し、この間取り組んできた市長宛個人署名、「附属病院廃止方針を撤回し市民の生命を守るよう求める要請書」(個人署名2832筆・団体署名26団体)を提出した。署名提出には、協会の垣田理事長が出席。現場スタッフや、市リハセンの患者・家族も多数出席した。冒頭、垣田理事長のあいさつの後、京都市保健福祉局障害保健福祉推進室の安部康則室長等に署名を手渡した。

京都市当局に届けた肉声

 出席した患者・家族は、市当局に対し、市リハセン附属病院存続を強く訴えた。「夫が脳内出血で20年以上、市リハセンに関わっている。心に大きな穴があかないことを願う」「足が動かなくなり、市リハセン附属病院にかかった。訓練し、機能回復を目指している先輩たちの姿が自分の目標だった。市リハセンで、自分の人生の先のビジョンが明確になり、展望が開けた。市リハセンはそういう場所だ。病院機能とリハビリテーションが一体化した施設は必要だ」「夫が附属病院に通院している。週1回通うことが、唯一の社会参加」「どうか、自分のこととして、明日は我が身だと思って、市リハセンの未来を考えていただきたい」。

市は患者・家族の訴えを聞いても「廃止」撤回せず

 こうした訴えを受け、市リハセンの中田泰司次長は、生の声を聞かせてもらい、附属病院が果たしてきた役割や現場の頑張りを感じたとコメント。しかし一方で、「時代の変化、民間でもリハビリ提供は充実し、必ずしも市リハセン附属病院でしかできないとは言えなくなった。民間にできることは民間にお願いする。附属病院は廃止するが、リハセンの機能は拡充する」等とあらためて附属病院廃止方針について撤回する意思のないことを表明した。

 このコメントに対し、考える会は「市リハセン附属病院が果たしている役割は民間でもできるという、従来からの市の主張については、我々のまとめた提言で反論をし尽している。きちんと提言を読んで再検討せよ」と強く求めた。

 なお、この模様は京都新聞をはじめ、マスコミ各社でも取り上げられた。

署名提出から3日後 市が廃止方針正式にまとめる

 署名提出から3日後の10月21日、京都市会教育福祉委員会で京都市は「京都市におけるリハビリテーション行政の基本方針」策定を正式に報告した。委員会では7月24日開始、8月23日締切の市民意見募集(パブリックコメント)結果が報告され、応募人数93人・意見数158件のうち、附属病院廃止を含む「リハビリテーション医療への新たな関わり方」に関するものが79件あったことを明らかにした。

 協会等が市に提出した「医療機能の拠点をなくして、障害種別を超えた相談窓口や高次脳機能障害者のための障害福祉サービス、人材育成等の機能を具体的にどうやって担うつもりなのか」との指摘を受ける形で、案段階では「(1)附属病院の廃止」としていた該当部分の見出しを「(1)「個別支援」から「『専門性の向上に向けた事業者支援』への移行」に変更し、附属病院を廃止しても必要な医師等の医療専門スタッフを適切に配置することを明記した。

 しかし、診療報酬上の算定日数制限により制度の隙間に落とされた患者の受け皿としての現病院機能である側面については、民間でもできるとの姿勢を崩さず、附属病院廃止方針は撤回しなかった。

 委員会では、複数の議員から「民間でもできるというが、どの病院が具体的にその役割を果たしてくれるのか」など、厳しい追及もなされた。

 なお、市会には別の当事者団体からも請願が提出されており、この日の委員会では留保扱いとなっている。この請願を今後議会としてどのように扱うのかも焦点の一つである。

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