予防接種制度で中長期ビジョン策定へ/年内にも一定の方向性  PDF

予防接種制度で中長期ビジョン策定へ/年内にも一定の方向性

 厚生労働省の厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会(部会長=加藤達夫・国立成育医療研究センター理事長)は9月29日、予防接種制度見直しに向けて厚労省が示した検討案について議論した。検討案では、中長期の予防接種施策の基本的な方針(中長期ビジョン)を策定することを提案。委員からも異論はなかった。今後は議論を踏まえた上で、検討案に沿って検討を進めていく。

 中長期ビジョンでは▽施策の基本的な考え方▽中長期の課題・目標▽関係者の役割分担、連携―について定め、5年程度で見直す。その下で、対象疾病・ワクチンの見直しや予防接種事業の適正実施の確保などを一体的に進めていく必要があるとした。予防接種制度の在り方として、どのような中長期ビジョンが策定されるかが今後の重要なポイントだ。

 保坂シゲリ委員(日本医師会常任理事)は「スケジュール感を示してほしい」と求め、健康局の外山千也局長が「社会保障・税の一体改革などとの整合性もあるが、次期通常国会に予防接種法の抜本改正を示すとの答弁がされている。年末までに一定の方向性を示していただければと思う」と応じた。

 部会ではほかに、接種費用の負担の在り方や関連してワクチン価格の問題などで委員から意見が上がった。

●予防接種施策の評価・検討組織、専門家・患者・メーカーなど参画

 これまでの議論で、総合的・恒常的な評価・検討組織の必要性が指摘されていた。今回の検討案では、現在の予防接種部会を機能強化、中長期ビジョンの下で▽専門家▽地方自治体▽製薬関連企業▽患者―などの参画を求める。ワクチン産業ビジョン推進委員会の機能も統合し、ワクチンの研究開発から接種後評価まで一貫性を持って予防接種施策全般について総合的・恒常的に評価・検討していく案を示した。

 評価・検討組織については、国立感染症研究所との連携の在り方も含め、次回にも議題に上がる見通しだ。

●フルワクチンの副反応報告、報告ルートを一本化
 現在、インフルエンザワクチン副反応報告は予防接種法による報告と薬事法による報告の2種類が実施されている。新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン対応時には、厚労省へ副反応報告を一本化していたことを踏まえ、今シーズン以降の副反応報告についても、報告ルートを一本化する。

 今シーズン以降、医療機関は定期接種の接種者数については市区町村・都道府県へ、副反応報告は厚労省へ報告する。報告は医薬品医療機器総合機構(PMDA)で整理し、薬事・食品衛生審議会と健康局との合同検討会で評価する方法を継続することとした。(9/30MEDIFAXより)

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