主張/非常時における医療体制の整備を切望する

主張/非常時における医療体制の整備を切望する

 わが国は世界最高の健康長寿をほこり、乳幼児に対する医療水準も決して低くはない。しかし、それはあくまで平時においてであり、地震や台風などによる大規模災害発生時や、現在のような新型インフルエンザ蔓延時の医療体制は依然として綱渡りの状態である。後方支援に必要な医療連携ネットワーク、十分な医師、看護師をはじめとする医療従事者、そして病床の確保、医薬品と医療用物資の備蓄、ドクターカーやドクターヘリなどの輸送手段の充実、また地域災害マニュアルの整備など、問題は山積している。

 これまでの新型インフルエンザに関する臨床報告によると、小児や未成年者への罹患率と重症化が顕著である。従来から小児医療の拡充が課題であったところへ、今回のパンデミックは小児科医の過重労働に拍車をかける結果となっている。そこへ更なる負担として、新型インフルエンザのワクチン接種が新たに開始されようとしている。今回のワクチン事業は決して医療機関への丸投げではなく、ぜひ保健所などの行政が主体となって遂行してほしいところである。

 政権交代を果たした鳩山新政権は現在、今年度補正予算の削減および来年度予算編成のまっ最中である。ムダを省いて財源を確保するというマニフェスト通り、公共事業費など国土交通省関連が最大の予算削減対象になりそうだが、厚生労働省の概算要求であっても優先順位の低いものについては先送りされる公算が高い。インフルエンザ流行のあおりを受けて、発熱外来を設けた公的病院の経営が逼迫し、地域の小児科医への負担が限界に達しようとしている今、非常時にも十分対応できる医療体制を、平時から整備しておくことがいかに地域医療にとって大切であるかを、政府に働きかける絶好の機会である。

ページの先頭へ