主張/厳しい状況に対応した経営と雇用対策を

主張/厳しい状況に対応した経営と雇用対策を

 「医療構造改革」は、後期高齢者医療制度の創設、特定健診・特定保健指導の実施、療養病床の削減を柱として着々と進められている。しかし、現場では、数多くの混乱、病院崩壊などが見られ、勤務医の過酷な労働実態が明るみになり、医師の過労死が労災認定される時代になっている。

 このような中、全国で6000件余りの開業、いわゆる開業ラッシュが続いている。一方で、年間4000件余りが廃院されており、廃院の理由は様々だが、うち1000件余りは開業後5年以内で廃院しているという事実がある。

 このような状況のもとで、安全で質の高い医療を提供するための設備投資や従業員を雇用し新規開業するのは大変な事業であり、絶対失敗は許されない。開業コストを節約しながら診療圏を拡大し成功するには、どうすればいいのか?

 まずは病院に勤務しながら、京都府保険医協会に入会して、新規開業セミナーなどに参加して情報を収集し、ある程度、具体的な開業プランが固まったらどの程度の資金が必要で、どんな調達方法があるのか協会に相談して頂きたい。

 そして、開業してから一番苦慮するのが職員の雇用問題だ。今まで勤務医として時間を無視して懸命に働いてきた先生が、今度は従業員を雇用して働いてもらうことになる。常勤の職員からパート職員までともに安心・安全の医院づくりをしなければならない。協会ではこのような対策として、接遇マナー研修会や雇用管理セミナーなどを開催し、多数の参加を頂いている。また、毎年経営対策シリーズとして全国保険医団体連合会(保団連)より冊子を出版している。

 外来管理加算「5分ルール」といったわけのわからないものが導入されるなど、開業医を取り巻く環境も益々厳しいものになっている。地域医療、プライマリケア、全人的医療の実践を志して開業する先生は、京都府保険医協会に入会し、協会が開業医のために開催する各種セミナーに参加することをお勧めする。

【京都保険医新聞第2656号_2008年9月15日_1面】

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