世論無視した川内原発再稼働 事故直視しない姿勢に強い憤り  PDF

世論無視した川内原発再稼働 事故直視しない姿勢に強い憤り

  8月11日、九州電力は川内原発1号機の再稼働を強行。8月31日にフル出力運転へと入ったとの発表があり、9月10日に通常運転へと移行した。この再稼働を受け、協会は福島第一原発事故のもたらした惨苦をなかったことにするものと強く批判。安倍首相、宮沢経産相、電力会社に8月19日付で抗議声明を送った。
 声明では、福島第一原発事故による直接死はないとされているものの、避難および不自由な生活でのストレスなどによる死亡や、将来を悲観して自死した事例など、関連死とされる件数が1232人にのぼっていることを指摘。また、これまでに行われた福島県県民健康調査では、「悪性ないし悪性疑い」の甲状腺がんの子どもたちが 112人となり、「県民健康調査」検討委員会の中間とりまとめでも「こうした検査結果に関しては、わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い」と言及せざるを得ない状態となっていると述べた。
 脱原発弁護団全国連絡会、原子力資料情報室などさまざまな団体から、火山リスクの観点から川内原発はそもそも「立地不適」であり、また、福島第1原発事故以降の新規制基準で、個々の火山の影響評価の前提として「火山活動のモニタリング」と「火山活動の兆候把握時の対応」を求めているものの、この基準を満たすための判断基準そのものが存在していないと指摘されている。
 世論調査では、全国で約6割の人たちが再稼働に反対している(NHK調べ)にもかかわらず、再稼働に向かって突き進む安倍政権・九州電力には、深刻な原発事故を起こしてはならないという姿勢が根本的に欠けており、強い憤りを覚えると断じた。
 また、そもそも原発は、徹頭徹尾、他者に犠牲を押しつけるもので、平常運転時の労働でも下請け・孫請け労働者が被曝を強いられている。発電所や核燃料サイクル施設は、決して都会には作ることができず、過疎地に押しつけられている。なおかつ、原子炉が生み出す放射性物質は現在の科学では無毒化することができず、放射性廃棄物の処理方法も定まっていない点などを挙げ、このような発電方法を選択すべきではなく、我々の脱原発を求める主張の根源には、この問題があることを強調。
 あらためて福島第1原発事故を直視し、脱原発を求める多数の声に耳を傾け、脱原発政策に舵を切ることを求めた。

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