世紀末は猛暑が常態化/温暖化影響予測、食料危機に  PDF

世紀末は猛暑が常態化/温暖化影響予測、食料危機に

 地球温暖化の進行により、21世紀末までには、これまでの記録的猛暑だった気温が多くの地域で普通になり、作物の生産性が著しく低下するなど食料危機が深刻化するとの予測結果を、米ワシントン大などの研究チームが1月9日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) で使われた23の気候モデルから未来の農業への影響を推測した。

 その結果、21世紀末までに、熱帯と亜熱帯では作物の成長期に当たる夏の平均気温が、1900年以降で最も暑い夏の気温を超える可能性が90%以上。日本を含む温帯の多くの地域でもこれまでで最も暑い夏の気温が一般的になるという。

 2003年の欧州の熱波ではフランスやイタリアで小麦やトウモロコシ、果物、家畜用飼料などの生産量が前年比で36−21%減少するなど打撃を受けた。72年には旧ソ連の猛暑を機に、国際的に小麦価格が高騰した。こうした異常が常態化する恐れがあるとしている。

 チームは、高温だけでなく、干ばつの影響が加わるとして「高温や乾燥に強い品種の開発などの対策が急務だ」と指摘している。【ワシントン1月8日共同】

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