シリーズ 環境問題を考える(87)

シリーズ 環境問題を考える(87)

京都縦貫道説明会に参加して その1

環境対策委員
京都府歯科保険医協会副理事長
秋山和雄

 私は船井郡京丹波町に住んでいる。京都市洛西の沓掛より京都縦貫道(高速道)に乗ると、現在の終点地が京丹波町の須知で、国道9号線と合流する。昨年11月に、この縦貫道をさらに綾部方面に延長する工事の説明会が地元で開かれた。国土交通省近畿地方整備局、福知山河川国道事務所の担当官よりこれからの工事予定等の説明があり、その後質疑応答に移った。高速道は国道9号線と立体交差し、綾部方面に延長されるが、国道と平行して旧山陰街道が走っており、その両側には人家が並んでいる。人家への騒音については舗装面の改善、道路脇の植樹等で環境基準(50〜60デシベル)以下に抑えることが説明されていたが、大気汚染については何ら説明がなされてなかった。そこで、NO2について質問してみた。毎年12月のNO2の測定を保険医協会で行っているが、近年その測定地は、私の診療所の前で、0・02〜0・03ppmを示している。しかし、10年前は0・01ppmで約3倍悪化してきている。立体交差付近の人家へは、高速道路より(説明では1日の交通量1万7000台)排気ガスが降り注ぐことになるが、NO2の汚染についてはどうかと質問した。担当官は、京都市内より空気はきれいなはずであり、また環境アセスメントからも問題がないとの答弁であった。そこで、その環境アセスメントの内容を再質問したが返答がない。アセスメントを作ったのはどこかと聞くと、多分国土交通省だと思うという曖昧な返事で、後で調べてその内容も知らせるとのことであった。説明会の主催者がこの程度の認識しかないのに驚かされると同時に、腹立たしい思いで会場を後にした。

 1週間後に「環境アセスメントのあらまし」なるコピー1枚が送られてきた。それを見ると、環境アセスメントは京都府が実施しており、国土交通省ではないことが分かった。また、そのコピーの表には、京丹波町内の4地点のNO2の予測値が記載され、いずれも環境保全目標値の0・04〜0・06ppm以下である。しかし丹波ICの地点、京丹波町須知での予測値は不明である。この表の4カ所の地点で一番須知に近いのは、丹波町曽根である。しかし、曽根は国道9号線からは約2km西に入った、田園風景の広がるところである。

(つづく)

大気汚染の予測値(NO2)[単位:ppm]

予測地点 環境保全目標値 予測値
丹波町曽根 0.04〜0.06
または
それ以下
0.015
瑞穂町大朴 0.015
瑞穂町井脇 0.015
和知町広野 0.012
綾部市釜輪町 0.026
綾部市安国寺町 0.026

注)表中の予測値は、すべて地上1.5mでの値である。
「環境アセスメントのあらまし」より

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