これでも診療所を引き下げるのか!?平均点数、実日数とも改定率以上の減少

これでも診療所を引き下げるのか!?

平均点数、実日数とも改定率以上の減少

 「病院勤務医の負担軽減に確実につながるよう、診療所(開業医)に偏っている現状を見直し、病院に対する診療報酬を手厚くすること」。財政制度等審議会が6月3日に公表した「2010年度予算編成の基本的考え方について」(建議)の一文だ。だが、本当に診療報酬は診療所に偏っているのか。

 これについて、岡山県保険医協会が6月25日に発表した資料及び考察を紹介する。
開業医の保険収入はこの10年間、ほぼ減少の一途を辿っている。この実態は、厚生労働省の「社会医療診療行為別調査」から見てとれる(左表)。

 財政審の建議における基本方針は、「財政審、財務省が必要と考えるところにお金が流れる仕組み」の確立だ。あるいは、総枠を拡大することなく、「給付と負担のバランス」を取ることだ。このためには、診療所が疲弊し始めているような現実には目をつむる。さらには、現在は、財務省には総枠(改定率)しか決定権がない診療報酬改定の審議のあり方にも口出しをする。なお、社会保障費や医療費の総枠を拡大する場合には、消費税増税を含めた国民負担の増加、混合診療や保険免責制度の導入などで、国の財源を使わないことを示唆している。

 診療報酬改定の議論は前回改定の結果検証を一通り終えた。今後の具体的審議を見据え、「我々が必要と考えるところにお金が流れる仕組み」を求めることが必要だろう。

 ※1996〜2007年の診療報酬累積改定率:▲7.60%(96年を100%として計算)

科目別の平均点数と平均実日数の推移

  医科診療所(外来)の診療科ごとの1件当たり平均点数と平均実日数の推移を96年から07年の「社会医療診療行為別調査」からグラフ化。診療科、一般・老人を問わず、減少傾向が見てとれる。特に老人については、複数の診療科において、1件当たり平均点数、平均実日数とも減少が激しい。

1件当たり平均点数で、最も減少率が高いのは産婦人科(老人)で▲40.8%(▲778.6点)、最も減少率が低いのは小児科(一般)で▲3.6%(▲31.2点)。平均実日数では、最も減少率が高いのは耳鼻科(老人)で▲47.7%(▲2.30日)、最も減少率が低いのは整形外科(一般)で▲16.5%(▲0.59日)。

※グラフは社会医療診療行為別調査から岡山県保険医協会が作成。社会医療診療行為別調査(毎年6月審査分)は、定点調査ではないため、必ずしも正確ではないが、傾向をつかむことができる。

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