【医界寸評】(彦)

【医界寸評】(彦)

 04年から始まった新臨床研修制度がいよいよ見直される。見直し案は、必修は内科・救急・地域医療のみとなり、今まで必修だった外科・麻酔科・小児科・産婦人科・精神科は選択科目となり、このうち2科を必修とする内容となった。実質的には1年でもよくなり、2年目から専門分野に進むことも可能となった▼もともと現制度に反対で、制度の見直しを求めていた大学と文科省。研修期間を2年から1年に短縮を主張していた自民党議連、09年グランドデザインで初期研修を1年に短縮する案を提案した日本医師会も後押しした形となった。厚労省は現行制度の提案者であり、成果もあがっているとして、2年間の大枠は守ったが、大学側の主張に沿った見直しといえる。これに対して、四病院団体協議会、全国自治体病院協議会、近畿病院団体連合会、保団連は反対している。全日本医学生自治会連合や医学生にも反対が多い▼学生たちは、初期研修の場として、救急や幅広いプライマリケアを修得するには、大学より市中の研修病院を選んだ訳で、強引な制度見直しで、大学に誘導しようとしても無理がある。国も、幅広い総合診療を担える医師を養成するために現制度を作ったはずで、成果があがってきた矢先の方針変更は原則がない。地域が求めている医師は、専門医だけでなく、総合的能力を持った臨床医であり、今回の見直し案は、一歩後退といえる。(彦)

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