「水道水臭い」苦情、07年度以降ゼロ/京都市、活性炭増など奏功

「水道水臭い」苦情、07年度以降ゼロ/京都市、活性炭増など奏功

 京都市の水道水に寄せられる生臭さやかび臭の苦情が、2007年度以降ゼロの状態が続いている。春や夏に2000件を超える苦情が殺到した時代もあったが、国の水質基準見直しに伴い、粉末活性炭の量を増やすなど処理を強化したことが功を奏しているようだ。市上下水道局は今後、高度処理システム導入も計画し、「苦情のないおいしい水づくりに挑戦したい」と張り切っている。

 生臭さやかび臭の元は、取水する琵琶湖に発生する植物プランクトン。主に4−6月は生臭い「ウログレナ」、6−11月にはかび臭い「アナベナ」が大量発生すると、各浄水場で処理しても完全ににおいは取り切れないという。1960年代からの琵琶湖の富栄養化とともに、市では71年以降、ほぼ毎年かび臭や生臭さが発生。市民から、94年には2000件以上の苦情が殺到し、03年も1600件を超えた。

 水道水にはプランクトンが出す臭気物質への規制がなかったが、04年に国が基準改定し、1リットル中に20ナノ(10億分の1) グラムと規定。07年には基準を同10ナノグラムに強化した。これに合わせ市は浄水施設に臭気物質を吸着する粉末活性炭の投入を増やした。この結果、苦情は徐々に減り、04年度には307件、05年度は10件になり、07年度から1件も寄せられていない。

 ただ、粉末活性炭は処理能力にも限界があり、市上下水道局は「蛇口からにおいのないおいしい水が常に出るよう努めたい」として、25年度まで計270億円かけ市内の3浄水場に、粒状活性炭を使った高度処理施設の増設を計画している。

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